こんにちは。SEOおたく(@seootaku)です
Google Dance Osakaに当選したので参加してきました。
Google Danceは、Googleの検索チームとウェブマスターやサイト運営に関わる人々との交流を目的としたイベントです。
2016年より毎年開催されてきましたが、今回で “Google Dance” としてのイベントは最後になると金谷さん(@jumpingknee)が述べていました。
いよいよ本日 #GoogleDanceOsaka です!Google Dance として開催する最後のイベントになりますのでラストダンスをみんなで楽しみましょう!みなさんとお会いできるのを楽しみにしています! pic.twitter.com/KI9hENgJ5i
— 金谷 武明 Takeaki Kanaya (@jumpingknee) November 14, 2018
多くの人が勘違いをしていましたが、こういった交流イベントが終わるわけではなく、”Google Dance”という名前での イベントが終わるだけだそうです。
To go ahead of mistranslations, #GoogleDanceOsaka was the last Google Dance, not just in Japan, but worldwide. Going forward, while we’ll have dozens of similar @googlewmc events, the name will be different.
Stay tuned for more information on our official channels! pic.twitter.com/2IISf4EVMu— Gary “鯨理” Illyes (@methode) November 15, 2018
これには会場にいる参加者一同ほっとしていました。
金谷さん(@jumpingknee) とあんなさん(@piropiroanna)の息のぴったり合ったファシリテートの元、イベントが始まりました。
アジェンダは以下の通りです。
Session(Google)
- Keynote Speech “Creating the Future of Search Together” – Juan Felipe Rincón(@jfrprr), Global Lead, Trust & Safety Search Outreach, Google
- The New Search Console & Helping The Long Tail Web – Idan Avraham, Software Engineer – Search Console, Google
- Google Image Search – Gary Illyes, Webmaster Trends Analyst, Google
Googleオフィスアワー
Session(一般)
- 検索者に好まれるウェブサイトとは – サイバーエージェント 木村 賢
- Google は教えてくれない「○○」のやりかた【完全版】 – 辻正浩
Lightning Talk
- ノンプログラマーのための、ちょまどのコード学園 – 千代田まどか(ちょまど)
- 負債45億円からの復活。小さな会社の大きなSEO~WEBが人生を変えてくれた~ – 株式会社パーシヴァル 酒匂雄二(さこっち)
- ホームページ作成サービス「ペライチ」が取り組むスパムコンテンツへの対応 – 杉浦正実(株式会社ペライチ)
- お客さんと遊ぼう!見るべきは他社でも Google でもなくそこにあるリアル – 【ルカコ】仙田 忍/Shinobu Senda
- レンサバ担当者直伝、ページ表示高速化のポイント! – 谷口元紀 @ さくらインターネット
- SEOの恋しさと、せつなさと、心強さと。 – りきゅー/石原利久
- 「Google品質評価ガイドライン」の使い方 – 広岡 謙
それぞれのセッションについての内容を記していきます。
目次
“Creating the Future of Search Together” – Juan Felipe Rincón(@jfrprr)
一言でいえば、「一緒に素晴らしい検索の世界を作っていきましょう」という内容のセッションでした。
基本的には、Google創業20周年の際に出された『これからの 20 年にむけて ~ より良い検索を目指して~』の内容に沿った話を詳細に語ってくれた感じです。
Googleのおかげで世界中の情報にアクセスできるようになり、私たちは今まで以上に大きな機会を手にすることができています。
Googleのミッションである「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」を達成するためにこれからも本気で取り組んでいくと語っていました。
このセッションで興味深かった箇所を抜粋すると、以下のようなところです。
- Google 検索は現在では190 カ国、150言語以上で利用可能
- Google では数十億の検索が毎日行われていますが、そのうち15%は過去に一度も検索されたことのないキーワードである
- Googleが何かを変更する際には徹底的にテストを行う
また、「Journeys、Queryless、Visual」という3つのキーワードがこれからの検索を担っていくと述べられていました。
①Journeys
欲しい情報を提供するだけでなく、検索者が現在どのジャーニーにいるのかを理解して最適なものを提供するということです
事実として、
- 3分の2のクエリは複数日にわたって検索される
- 8件に1件のクエリは同月中に繰り替えし検索される
例えば、同月中にリピートされるクエリでは、ユーザーは同じ情報を求めているのではなく、2回目にはより深い情報を求めていることなどが考えられます。
Googleはこうした検索ジャーニーを正確に捉え、最適な情報を提供しようと努力しているのです。
それを実現させるために、GoogleはTopic Layerを利用しています。
※Topic Layerについては以下の記事にまとまっています(英語)
Helping you along your Search journeys
Google Topic Layer To Knowledge Graph, Enabling Dynamic Categorization & More
具体例として出されていたのは、PugとYorkshire terrierについて検索しているユーザーにとってはクエリが同じ「犬」であっても求めている情報が違うだろうというものでした。
Topic Layerによって、Pugを調べている人は「血統」を、Yorkshire terrierを調べている人は「毛のとかし方」を探していることを見極めることができるのだそうです。
②Queryless
Knowledge Graphをはじめとする “Queryless” の世界をGoogleは目指しています。
今回の話ではありませんが、BrightonSEOのセッションの中で、「何もクリックしない」で検索行動を終えるユーザーが増えてきていることが赤裸々に語られていました。
2016年2月
- オーガニック検索:65.72%
- 何もクリックしない:34.28%
2018年2月
- オーガニック検索:38.97%
- 何もクリックしない:61.03%
Google Discover(かつてのGoogle Feed)も著しい成長を遂げてきており、今では7.5億MAUもあるそうです。
これもTopic Layerによるユーザーの検索ジャーニーを把握したニュースを提供できているからだと言います。
③Visual
Google画像検索のアイデアは、2000年にもっとも検索されたクエリが「ジェニファーロペスの緑のドレス」であったことから始まったそうです。
このクエリからもわかるように、ユーザーは検索において画像を求めていることが多々あります。
そうした流れの中、Google画像検索では単に画像を提供するのみではなく、検索クエリに基づいて「レシピ」や「販売情報」などユーザーが求めている内容を汲み取って提供するのです。
つまり、画像検索は単に画像を探すだけではなく、その先にある情報にたどり着くための最適解として働き始めているのです。
Google Lensなども進化していく中でこれからもどんどんと画像検索は成長していくでしょう。
The New Search Console & Helping The Long Tail Web – Idan Avraham
サーチコンソールのソフトウェアエンジニアであるアイダンから「新サーチコンソール」と「ロングテールウェブ」についてのセッションがありました。
①新サーチコンソール(どのように大規模・中規模サイトを助けることができるか?)
新しいサーチコンソールの特徴として以下の4点が挙げられていました。
- Accesible on Mobile(モバイルでの利便性)
- Actionable insights(行動につながるインサイトの提供)
- User workflows(ユーザーのワークフロー)
- Faster feedback loops(早いフィードバックサイクル)
旧サーチコンソールから新サーチコンソールへのアップデートは単にUIを改善するのではなく、サーチコンソールにパラダイムシフトを起こすためのものだったといいます。
第一に、Googleが世の中のWebサイトに対して「モバイルフレンドリー」を推奨しているにもかかわらず、Googleのサーチコンソールがモバイルフレンドリーでないのはよくないので改善したそうです。
また、旧バージョンでは3ヶ月分しか取れなかった検索トラフィックデータも16ヶ月分取れるようになりました。
このおかげで、クォーターごとのトレンドなども比較できるようになるなど使い勝手が非常によくなっています。
行動につながるインサイトの提供という面では、これまでは「なんとなくエラーになってるけどどうしたらいいかわからない」というのがサーチコンソールのエラーレポートでした。
新サーチコンソールではそういった部分を改善し、エラーを直した後のインパクトが見て取れるようになったり、エラーをグルーピングすることで行動が起こしやすくなりました。
また、旧バージョンではクロールされるまで本当にエラーの修正ができたかどうか確認することはできませんでしたが、新バージョンではすぐにGoogleに修正を確認してもらうことができるようになっています。
②ロングテールウェブサイト(小規模サイトをどのように助けることができるか?)
小規模サイトを運営している人というのは、ビジネスに役立てばいいという気持ちでサイトを立ち上げますが、技術的知見がないためうまくPDCAを回して改善していくことができません。
その結果、ほとんど検索結果に現れることがなくなってしまいます。
なんとかCMS(Wordpress等)でサイトを作ったとしても、検索に最適化することへの敷居は非常に高いです。
そこで、WIXやSquarespaceといったCMSプラットフォーマート連携をして、簡単なステップでサーチコンソールに登録してもらえるようにしました。
実際、ユーザーから「サイトの認証ができない」などの声は多く上がっているそうなので、こうした提携によってより小規模サイトを運営する技術的リテラシーがそれほど高くないユーザーにとってもフェアな検索の世界になるのではないでしょうか。
また、検索結果画面にサーチコンソールのデータが表示される新機能も、こうしたユーザーがサーチコンソールに登録していることを気づけるように行った施策なのだそうです。
より検索を最適化することが身近になり、フェアな世界になるといいと思いました。
アイダンへのQ&A
Q. Fetch as Google のレンダリング確認機能は今後実装されるのか?
A. 今のところ確実な答えを出すことはできない
Q.レンダリングが失敗する場合があるけどなんで?
A. まだまだサーチコンソールの精度に問題がある。99%くらいの精度だと思っておいてほしい。
Q. WIXのようにWordpressとも連携する予定はあるか?
A. WordPressがCMSプラットフォームで最大なプレーヤーであるのでもちろん重要視している。しかし具体的なことは言えないし、決まっていない。
Q. サーチコンソールのデータが検索結果画面に出る機能をオフにするオプションがほしい
A. 現在取り組んでいるのでしばらく待ってほしい。
これについては辻さん(@tsuj)がChromeの拡張機能をシェアしてくれていました。
いま #GoogleDanceOsaka で質問されていたミニサチコパネルが出過ぎる問題ですが、非表示にするChrome拡張を作ってくださった方がいました。 https://t.co/I57RzzHm5f
私も半分くらいのクエリで出てしまっていて困っていましたが、これのおかげで解決しました!— 辻正浩 | Masahiro Tsuji (@tsuj) November 15, 2018
Q. スパム系の被リンクを否認する作業の負担を減らしたい
A. そもそもリンクの否認がベストプラクティスと言っていない。どちらかといえばなぜスパムリンクが付くのかの原因を特定することが大切。社内の別チームが付けていたり、制作会社が付けていることは往々にしてある。
Google Image Search – Gary Illyes(@methode)
ゲイリーのセッションのアジェンダは以下です。
- どのようにGoogle画像検索が機能しているか?
- SEOとはなにか?
- どうしたらGoogle画像検索でよりよく振る舞えるか?
①どのようにGoogle画像検索が機能しているか?
画像検索は非常に大切な流入経路であるにも関わらず、あまり多くの人が語っていないことが不思議だとゲイリーは述べました。
画像はほぼ100%のサイトで利用されているにも関わらず、多くの人が最適化することを無視してしまっているでしょう。
Google画像検索はおそらく私たちが想像している以上にはるかに発展しています。
例えば、画像をブックマークすることができ、自分が気になるものをリスト化することができたり、そのリストを他の人にシェアすることも可能です。
もしくは、最新の画像、HD画質、購入できるかどうかなどの切り口でも検索することができます。
画像検索も通常の検索と同様に「クロール→インデックス→ランキング」のフローで行われます。
画像検索に関する詳しい内容は以下の公式ドキュメントにまとまっていますので目を通しておきましょう。
②SEOについて
ゲイリーによればSEOとは以下の3点で構成されていると言います。
- 検索エンジンがコンテンツにアクセスできるようにすること
- コンテンツを作り最適化すること
- メタ情報を追加して最適化すること
これは画像検索でも同じで、imgタグにアクセスできるようにしておかなければならず、robots.txtでbotをブロックしてはいけません。
③どうしたらGoogle画像検索でよりよく振る舞えるか?
ゲイリーは画像用のXMLサイトマップを作成することも推奨していました。
画像のサイトマップに関するGoogle公式ドキュメント
画像においてはaltタグが非常に大切な役割を果たすといい、10文字程度のテキストで構成すべきだそうです。
また、画像の周辺に配置するテキストによってそれが何を表しているのかをGoogleは理解しているそうで、いかに関連性をGoogleに伝えることができるかで画像検索でのパフォーマンスが変わります。
ゲイリーのセッションからも、これからますます伸びていく画像検索に対していち早く最適化するよう努力していくべきだと考えさせられました。
④Q&A
画像検索に関する質問がゲイリーに投げかけられました。
Q. 他のメディアの画像を利用することでサイトの評価が下がるのか?
A. オリジナルの方がもちろん良い。アルゴリズムで重複バージョンの方の評価をしないようにしている。ただ、重複画像を使ったからといってサイトの評価が下がるということはない。
Q. 画像の大きさや解像度は順位に影響するか?
A. ユーザーにとって最適な形で提供すべき。解像度が高いから順位が上がるということはない。
Googleオフィスアワー
事前に集められた質問に対する回答を金谷さんと登壇者の3人が回答していく「Googleオフィスアワー」も開催されました。
Q. 外部連携メディアが検索上位になってしまった場合にどうしたらいいか?
A. canonicalを入れてもらうのがベスト。今後は契約の時点でcanonicalを入れてもらうようにしよう。
Q. サブドメインとサブディレクトリ、新サイトを作るならどちらがいいですか?
A. どちらでも問題ありません。メンテナンスしやすい方で作ってください。
Q. 公式サイトに勝ちたい!
A. Googleはユーザーが探していると思われる順番で表示している。そういった意味で一次情報を持っている公式サイトはその可能性が高い。
Q. サーチコンソールのエラーは無視してOK?
A. 無視していいものとそうでないものが存在する。新サーチコンソールにアップデートしたのはよりエラー改善の優先度をわかりやすくしたいという意図もあったので、きちんとエラー内容を理解して対応すべきものは対応してほしい。
※金谷さんが、インデックスカバレッジの「エラー」は無視しないように補足していました
Q. SSL化したらアクセス数が激減しました
A. おそらくそれはSSL化が問題なのではない。アルゴリズムアップデートなどが原因なのではないだろうか。ちなみにSSL化で検索結果が大きく向上するということはない。
Q. 301リダイレクトをした後に元記事を消すタイミングを教えてください
A. 301リダイレクトはサーバーに大きな負荷をかけます。なので元記事へのトラフィックがなくなったタイミング等に行ってもいいでしょう。ただ、そこまで優先順位を上げて行うべきことではないと思います。
Q. 地域のパーソナライズは意味をなしていないって本当?
A. 質問の意図はうまく汲み取れていないが、ローカル検索やパーソナライズから今後Googleが距離をおくということはないでしょう。
Q. サーチコンソールのエラーが多いがバグではないか?
A. サーチコンソールの精度は99%だと思ってください。もしバグだと思えばGoogleにフィードバックを送信してください。
Q. Googleにとっても、ユーザーにとっても価値のあるサイトとはどのようなサイトでしょうか?
A. コンテンツ・エコシステム・ストラテジーの3つが重要。中でもエコシステムを特に意識してほしい。
また、長いし英語のドキュメントしかないが「検索品質評価ガイドライン」を読むとそこに答えが載っているでしょう。
Q. 表記揺れについて(結婚式とウェディング)
A. これは難しい問題であるが、どちらも一緒くたに対応するのはよくないだろう。エンジニアチームにエスカレします。
面白い質問が飛び交い、非常に良い時間でした。
検索者に好まれるウェブサイトとは – サイバーエージェント 木村 賢(@kimuyan)
「Googleを見るのではなく、検索者を見ろという言葉は聞き飽きましたよね」というよくぞ言ってくれたという言葉から始まりました。
内容の詳細については割愛しますが、「検索品質評価ガイドライン」を細分化してそれぞれを分析したというものでした。
180をも超えるシグナルを詳細に分析したそうです。
結論、「検索品質評価ガイドラインに基づいてサイトを作れば、SEOにも強くなる」というものでした。
個人的に、発リンク数と品質評価に正の相関があるというのが興味深かったです。
非常に濃い内容の素晴らしいセッションでした。
Google は教えてくれない「○○」のやりかた【完全版】 – 辻正浩(@tsuj)
SNSに内容を挙げることは厳禁とのことなので内容については触れません。
ただ、「正しく争えるインターネット」というのは非常にいい言葉だと思いました。
Light Talking
各人の詳細情報は割愛させていただきますが、どのLTも学びのある素晴らしい内容ばかりでした。
ちょまどさん(@chomado)の話は、ノンプログラマーにも興味深い内容でした。
また前段の二人との空気感の違いが面白かったです。
#GoogleDanceOsaka で紹介した
私の描いた、プログラミング言語擬人化漫画の第1話ですもともと別のメディアに載っていたのですが、最近リクナビに引っ越しました
ー
東京Node学園からJavaScriptが転校してきた!──はしれ!コード学園【第1回】 | リクナビNEXTジャーナル https://t.co/IgCz4TGcY6— ちょまどMadoka@大阪なう (@chomado) November 15, 2018
ルカコさんはSEO以前に「誰よりもユーザーのことを理解する」ことの大切さを語られていました。
個人的に一番面白かったのは、広岡謙さんの「Google品質評価ガイドライン」の使い方のセッションです。
時間切れで最後まで聞くことはできませんでしたが、検索品質評価ガイドラインを、
- Googleが見ている「一歩先の未来」を知る
- サイト改善のチェックリストに使う
- 他の資料と使い分ける
といったように使ってみようと述べていました。
「品質」「関連性」「使い勝手」など様々な項目が含まれていますが、大切なのは「ユーザーが目的を達成すること」という本質的な回答もよかったです。
5分と言わず、20分くらい聞きたい内容のセッションでした。
まとめ
総じてGoogle Dance Osakaは最高のイベントです。
Google社員のセッションも、一般(?)の木村さんと辻さんのセッションも、LTも全てにおいて学びがありました。
Google Danceとしてのイベントは今回で最後のようですが、またGoogleの社員の方々やSEO界隈の人たちと交流にできる場を作っていただけると嬉しいです。
#GoogleDanceOsaka 無事終了しました!みなさま、ありがとうございました!オフィスを離れ、大阪での開催という僕らにとって初の試みとなりましたが、いかがでしたでしょうか?少しでもお役に立てば嬉しいです。また来年も色んな地域に行きたいと思います。また次回、お会いしましょう! pic.twitter.com/3VQyg2Xoal
— 金谷 武明 Takeaki Kanaya (@jumpingknee) November 15, 2018